日本軍から見た戦略の失敗を企業経営に活かす
経営戦略の失敗は、企業経営にダメージを与えます。
場合によっては再起不能、倒産に至るときもあります。
第二次世界大戦の日本軍の戦略を研究し失敗した理由は何なのか。組織運営にとって大事なことが分かります。
今回の経営のヒントは「1991/8/1 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 戸部 良一 (著), 寺本 義也 (著), 鎌田 伸一 (著), 杉之尾 孝生 (著), 村井 友秀 (著), 野中 郁次郎 (著)」です。
戦略の失敗の理由、それには訳がありますね(;゚Д゚)
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫 と 18-1) | 良一, 戸部, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 |本 | 通販 | Amazon
なぜ日本軍は戦略を失敗したのか?
第二次世界大戦、とりわけアジアや太平洋で戦争を繰り広げた日本軍。中国、アメリカ等と戦線の拡大は兵站(補給)が問題になります。 ただでさえ資源のない国なのに国力の差が歴然のアメリカに戦いを挑む、、、(;゚Д゚)
本書は、ノモンハン事件(失敗の序曲)、ミッドウェー作戦(海戦のターニングポイント)、ガダルカナル作戦(陸戦のターニングポイント)、インパール作戦(賭の失敗)、レイテ海戦(自己認識の失敗)、沖縄戦(終局段階での失敗)という戦略が解説されています。
なぜならば、日本軍の組織特性やそれに起因する失敗の本質は、戦争指導全体の流れを追うことよりも、個々の重要な作戦の決定や遂行・実施の実態を分析することによってこそ、より明確かつ具体的な形でとらえることができるであろう、と考えたからにほかならない。
(本書よりP27)
日本軍はなぜ戦略を失敗したのでしょうか。
真珠湾海戦からの連戦連勝、1つの戦略から崩れ落ち行く姿が戦略の実行と不全の差が気になります。
ノモンハン事件においても、日本軍の作戦目的は明確ではなかった。ソ連との国境線をめぐる師団レベルの戦闘であったにもかかわらず、最高統帥部たる大本営は明確な判断を示さず、結果として関東軍の独断専行を許容する形になった。
(本書よりP268)
戦略を指揮する大本営(東京)と現場(中国)の関東軍がちがった動きをしたのか、、、(;゚Д゚)
目的と手段とは正しく適合しなければならない。「目的はパリ、目標はフランス軍」といわれるのは、この関係を表すものである。
(本書よりP269)
日本軍の戦略は短期的志向、日米開戦は近視眼的な考え方と本書より・・・(;゚Д゚)
~略~日本軍は精神力や駆け引き的運用の効果を過度に重視し、科学的検討に欠けるところが大であると嘆じたのはまさにこのことをさしているのである。
(本書よりP283)
いざというとき日本には神風が吹く!なんとことも非科学的ですよね・・・(;゚Д゚)
学習を軽視した日本軍
帝国陸海軍の組織行動の原点は、白兵銃剣主義や大艦巨砲主義的な日露戦争で活躍した乃木希典や東郷平八郎までさかのぼるという・・・(;゚Д゚)なるほど
過去の学習がそのまま陸軍や海軍に残ると実績主義に陥りますね。過去の成功が学習を阻害する・・・
学習理論の観点から見れば、日本軍の組織学習は、目標と問題構造を所与ないし一定としたうえで、最適解を選び出すという学習プロセス、つまり「シングル・ループ学習」であった。~略~
さらに進んで、学習する主体としての自己自体をつくり変えていくという自己革新的ないし自己超越的な行動を含んだ「ダブル・ループ学習」が不可欠である。日本軍は、この点で決定的な欠陥を持っていたといえる。
(本書よりP332)
シングル・ループ学習とは、過去の学習や成功体験を通じて獲得した「ものの見かた・考え方」や「行動のしかた」にのっとって問題解決を図り、その過程で学習することをいう。外部から新しい知識・情報を取り入れつつダブル・ループ学習を行い、それをまたシングルループ学習によって反復・強化する。このサイクルを繰り返し継続できる組織だけが競争優位を保ち続けることができるとされる。
リクルートマネジメントソリューションズHPより引用
組織は生きている。組織の進化を阻害すれば必ず綻びはでますね。
日本軍の戦略の失敗を重要視し学習する経営者はよく分かります(;゚Д゚)
あとがき
戦略がハマるとき、それは経営と現場が一体となっているとき。
失敗から学べるものはいっぱいありますね\(゜ロ\)(/ロ゜)/