中小企業こそ知財収益化へ
知財を意識した経営、そして収益化のシステムをどのように構築するのか。実務上はなかなか難しい問題があります。
経営者・起業家・イノベーターにおくる今回の経営のヒントは「知財収益化のビジネス・システム 中小の革新的企業に学ぶものづくり (著)土屋勉男・井上隆一郎・竹村正明」を読み解きましょう(#^^#)
中小企業の知財収益化
ものづくり日本と言われて久しく、時代とともに日本の製造メーカーの海外進出に伴い多くの中小企業も追随したり、海外現地のメーカーへ切り替えにより日本の中小企業は安価な下請けと価格競争により廃業又は倒産といった困難な時代へと突入しました。グローバル化により、海外をまたいだサプライチェーンの構築により良くも悪くも世界マーケットと一体化しています。今回のコロナウィルスで中国を中心としたサプライチェーンの影響で垣間見えることができましたΣ(・ω・ノ)ノ!
上記の「下請け」と「価格競争」により、中小企業の大半は「時間」と「人員」を投入していることは見受けられます。
そして出てくる「イノベーション論」。下請け脱却や、過当な労働のすえの価格競争戦略を乗り越えブルーオーシャンを目指す経営。
ここで仮説。果たして、中小企業はものづくりに関して独創的でマーケットも揺るがすものを作り出せるのでしょうか?そして、知財という制度を利用して、権利を駆使し「攻めと守りの経営」は出来るのでしょうか? |
中小企業が、新しい製品技術の開発に力を入れて資金を投下し、ビジネスを立ち上げたのちに投資した資金の回収を図ることになります。
「製品技術」を売る力が求められ、単にいいものだけでは売れないことは確か。差別化したビジネス・システムの構築が必要です。
ビジネス・システムとは、企業活動において「経営資源を一定の仕組みでシステム化」であり、「どの活動を自社で担当するか、社外の様々な取引相手との間にどのような関係を築くか、を選択し、分業の構造、インセンティブのシステム、情報・モノ・金の流れの設計の結果生み出されるシステム」のことを指す。(本書よりP17) |
自社がどのような技術や製品に力があり、マーケット全体のどの部分に高付加価値な提供を行えるのか。やはり、上記からも分かるように情報を手に入れる力は必須のようですΣ(・ω・ノ)ノ!
この高収益化を実現できるビジネス・システムを、「ビジネス・モデル」と呼ぶ場合もある。(本書よりP19) |
顧客への価値提案
本書では知財の創造(イノベーション)に熱心な企業がさらに「知財の収益化」の事例を記載しています。
どんなに優れた製品技術が生まれても、顧客がそれを認知し、評価して、お金を払ってくれないと開発費が回収されない。(本書よりP21) |
優れたサービス・技術も顧客に価値が伝わってこそ。マネタイズ(収益化)はプロダクトアウトからマーケットインへ。
顧客が誰なのか?といった把握が必要になります。しかし、顧客の顧客が自社の顧客かもしれません。顧客の顧客が儲かると結局、自社も儲かるというマネタイズ(収益化)がどこにあるのか、業界全体を高い視野と時間軸でみる必要も問われます。
2019/6/28 企業のマネタイズを考える記事:参照 「ザ・マネタイズ」
経営者の役割はアンテナはること大事ですね\(◎o◎)/!
研究開発を行い製造技術を自社のビジネスモデルにのっけて収益化する。そのビジネスモデル自体が知財であり、他社に模倣されないようにクローズ・オープン的な戦略まで描きたい。表に出る情報は、やはり魅力的な世界初や業界初といったものでマスメディアに報道されることにより世間に知られることは重要です。そして知財の核となる部分は特許や商標で守ること。そして特許があるということで、他社との交渉や模倣されないビジネスモデルに近づけることもできる。
しかし、中小企業の知財戦略として、中小企業が自前の「知財部」を持てないのも確かだ。そこで、弁理士事務所を自社の「知財部」として弁理士と一緒に活動することもおすすめです(#^^#)
持続的な開発と絶え間ない努力が日本の製造業を発展させてきた歴史をなくさいないためにも、新しい発想は重要です。
あとがき
日本の特許申請は約30万件であり、その6割が大企業です。その他の4割が中小企業であり、さらに特許をとるということもない企業も多いと思います。
知財の価値を正しく理解し、マーケットで適正な利益を得ることが、今までの研究開発の成果です。成果を回収しなければ、企業の継続・発展はできません。
情報を手に入れる、アンテナをはる、ビジネスモデルを整理し知財活用を思考する、自社の製造技術を市場や顧客に問い直す。
次回へ続きます~(#^^#)